静岡アンティークジュエリー 人々を魅了するお花モチーフ
18世紀、19世紀は、現代ジュエリーの基礎が作られた時代と言われています。素材が増え、技術が高まり、世界が広がったことに伴い、多様多彩なデザインが登場しました。
今から100年以上昔に作られたジュエリーを総称して「アンティークジュエリー」と呼んでいます。当時、ほとんどのジュエリーが受注生産だったため、依頼主の要望に沿ったジュエリーがデザイン・制作されていました。すべてのアンティークジュエリーには物語があり、その物語がアンティークジュエリーの魅力となっています。
素材、デザイン、作りの3つの面で、現代ジュエリーにはないユニークさをもつアンティークジュエリー。
今回はそんなアンティークジュエリーでもよく用いられたお花(フラワー)モチーフの作品を紹介させていただきます。
お花モチーフのジュエリー
花は、いつの時代も芸術家たちにとって創作意欲を掻き立てられる題材でした。ジュエリー職人が花をデザインしたジュエリーを作り始めたのも自然といえるでしょう。
実は花のモチーフは古代からあり、ギリシャ各地の、金の薄い板で作られた花や花輪のジュエリーは特によく知られています。
しかし、宗教が世の中の中心だった中世には、花の作品はほとんど見られませんでした。16世紀末になりようやく、フランス王アンリ4世の「王の庭」と呼ばれる植物園が開かれる頃から、少しずつ再び人々の関心が、花のもつ自然の美しさに向けられるようになったようです。そして17世紀になると、花をモチーフにしたジュエリー作品が数多く登場してきます。
細部までこだわった花ブローチ
1930年頃、イギリスで作られた作品です。
美しく咲き誇る二輪の花を、良質なダイヤモンドで表現した作品です。細部にわたり見事な作りで、職人の技術力の高さがうかがえます。サイズが小ぶりで、とても実用的なブローチに仕上がっています。
当時、ダイヤモンドの代用品として流行していた「マルカジット」と呼ばれる鉄鉱石を6面体にカットしたものではなく、本物のダイヤモンドを使っているところもこの作品の魅力の一つ。
誰かが誰かに花束の代わりにプレゼントしたのでしょうか…
この作品にまつわる当時のストーリーを想像しながら、身に着けたい逸品ですね。
エナメルで作られたパンジーのブローチ
1890年頃、アメリカで作られた作品です。
淡い紫からピンク色にグラデーションされたエナメルがなんとも美しいブローチです。花びらの上にある輪っかにチェーンを通せば、ペンダントとしても使用することができます。花の中心部には天然真珠があしらわれており、一度見たら忘れられない存在感あふれる作品です。
花モチーフのアンティークジュエリーの中でも、本作のように、アール・ヌーヴォーの時代に作られたエナメルの花が最も華やかと言えるでしょう。
エナメルは、熱で溶かして貴金属性の装飾品などに融着させたガラス質のこと。この美しい色合いを表現するために、何度も作り直したのかもしれませんね。
エナメルの花模様ペンダント
1900年頃、イギリスで作られた作品です。
先ほどの作品同様、こちらもエナメルの作品です。エナメルのやわらかな質感は、高価な宝石を使用したジュエリーにも勝る魅力がありますよね。エナメルジェリーは繊細で高い技術を要するため、現代のジュエリーではなかなかお目にかかることがありません。本作のような良質なエナメル使いは、アンティークジュエリーの醍醐味の一つと言ってもいいかもしれません。
エナメルのアンティークジュエリーはもともと数が少ないため、今後ますます手に入らなくなると言われています。
本作は銀で作られた愛らしい花のパーツにブルーエナメルを施し、花と花の間はペーストを入れた葉のパーツで繋いでいます。ゴージャスでありながらシンメトリーの安定したデザインが落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
花モチーフのアンティークジュエリー、いかがでしたか?
一つ一つにこめられた物語、作り、素材、デザイン…アンティークジュエリーは本当に奥が深く興味深いジュエリーですよね。
是非一度手に取って、物語を聞いて、感じてみてください。
きっと、あなたにぴったりのアンティークジュエリーがみつかるはずですよ。